「新日本ガラパゴス研究会」発足の趣旨
新日本ガラパゴス研究会 名誉会長
重中 義信
新日本ガラパゴス研究会(New Japanese Association of Galapagos Studies:NJAGS)は、もともと2002年9月1日に設立した「ガラパゴス研究会」を2005年1月1日に「日本ガラパゴス研究会」に、さらに2019年3月2日に「新日本ガラパゴス研究会」に改名し、探訪する地域を広げ、また活動内容の充実を図っているところである。
さて、「ガラパゴス研究会」を立ち上げる際には、生き物や自然をこよなく愛する人達が三々五々集まり、生き物だけの話にとどまらず、自然環境など生き物を巡る周囲の環境についても自由に語り合うことのできるような、そして気楽な楽しい場にしようというのが趣旨であった。さらに一歩進んだ話も出てきて、何か中心的な柱となるようなテーマを考えた方がよいだろうということになり、ダーウィン進化論発祥の地、そして世界自然遺産第1号の地として知名度の高い「ガラパゴス」に関する様々な話題を取り上げることになったのである。
実際に、このような研究会を立ち上げるための決定的な動機となったのは、ある話し合いというか、偶然な出来事であった。それは「広島きのこ同好会」の主要メンバーからのお誘いにより、タイ王国でのキノコ調査に同行させてもらったときのことであった。その際、ミャンマーとの国境近くの山岳地帯に入り込み、宿泊したキャビンで同室となったメンバーに何となく私のガラパゴス探訪経験の話をしていたのである。ところが、その話の途中で、彼から「そんなに固い溶岩だらけの島で、水も乏しく、直射日光に曝されているような厳しい環境の所に、果たしてキノコが生えるのだろうか?もしキノコが生えるとすればどんな種類のキノコがあるのだろうか?」という質問が出たのである。その話はさらに発展して、「広島きのこ同好会」の中だけでも希望者を募り、実際に「ガラパゴスのキノコの探索をしてみようではないか?」という結論に達したのである。それが、2002年に最初のガラパゴス・ツアーとして結実したのであった。そして、嬉しいことに様々な種類のキノコを次々に発見することができたのであった。帰国後、私たちは直ちに「ガラパゴス研究会」を立ち上げることにしたのである。
この「ガラパゴス研究会」は、ガラパゴスの調査研究を主目的とした会としては、我が国最初の研究会になったのである。しかし、ここで強調しておきたいことは、生き物や自然の好きな方であればどなたも大歓迎という姿勢を貫き、例会や講演会などの会合も無料の公開形式で開催していくことにしたのである。その効果もあってか、「ガラパゴス研究会」が広島の地を本拠地としているにも関わらず、日本各地から次々と会への入会申込みが続くようになってきたのである。
そのため。2005年1月1日にその名称を「日本ガラパゴス研究会」に改めることにし、会の運営や諸活動を全国展開することを決定したのであった。そして、関東・関西・九州という3つの支部を開設したのである。
さらに、これまでの活動の柱を「ガラパゴス」において活動してきたが、「ガラパゴス」だけでなく、日本においても「東洋のガラパゴス」と呼ばれる地などにも訪れ、地球上における大自然を楽しみ、探索し、研究し、自然保護の理念を涵養し、未来社会に貢献するという幅広い活動を行うために、2019年3月23日に「新日本ガラパゴス研究会」に改名した。それを機に私も長年続けてきた会長職を後輩に譲り、会員のひとりとして本会の発展に寄与していきたいと願っている。また、今後ともこれまで以上の皆様のご支援を願っている次第である。